SIGHT OF HEART
更新日:2000/02/02

●「点字楽譜」は難しくない! の続き の1

 「難しくない」と、いくら言われても、どんなものかを知らなければ、簡単かどうか分かりませんよね。
 ここでは、先に、「体系だてられている」と言っていた意味が、「なるほど、こういうことなのか」と感じていただければと考えて、言わば「点字楽譜 入門の入門」といった部分を、ご紹介することにしましょう。

1. 6つの点の役割分担

 点字は、1つの単位(マスと言います)が、横2列かける縦3列の合計6つの点(突起)からできています。

 左側の縦1列の3つの点を、上から番号を付けて、1、2、3の点と呼び、右側の縦1列も同様に、上から、4、5、6の点と言います。

 点字楽譜の音符では、これらの6つの点を、1、2、4、5の点、つまり上にある4つと、3、6の点、つまり下にある2つに分けて意味をつけています。

 上の4つの点で、音名(音の名前)を表わし、下の2つの点で音符の種類を表わします。

 音符にはもちろん「音の高さ」と、音の長さに相当する「音符の種類」があります。普通の音符はこの2つの要素を1つの記号(いわゆる、オタマジャクシ)で表わしていますが、点字も同様なのです。

 これまでの説明を、図に書くと、次のようになります。

6点の意味付けの説明図

点字楽譜における6点の意味付けの説明図

2. 音の名前の表わしかた

 先に、音の名前について説明しましょう。
 日本では、音名というと、「ハニホヘトイロ」を使って教えていることがおおいようですが、ここでは英語の呼び方である、「C、D、E、F、G、A、B」でご説明することにします。

 もちろん、最もなじんでいる、「ドレミファソラシ」でも構わないのですが、音の名前である「音名」と、音階に順番につける「音階名」の両方が、同じ「ドレミ」になってしまい、紛らわしいので、英語にしておきます。

 ですから、ここで使う「C」は、その曲の調が何になっても、変わらない音名の「ド」を表わしていることに注意してくださいね。(音楽のことを、ちょっとご存知のかたには、「固定ドです」と、ご紹介したほうが、分かりやすいかもしれません)

 では、それぞれの「音の名前」が、どのような点の並びになるかを、ご説明しますと、
  ・Cは、1、4、5の点
  ・Dは、1、5の点
  ・Eは、1、2、4の点
  ・Fは、1、2、4、5の点
  ・Gは、1、2、5の点
  ・Aは、2、4の点
  ・Bは、2、4、5の点
で表わすということになっています。

 点字をご存知のかたであれば、点字で「ルラエレリオロ」と書くものが、「C、D、E、F、G、A、B(ドレミファソラシ)」を表わす、と憶えれば分かりやすいかもしれません。

 でも、音名だけなら、どの音域(オクターブ)の音かは特定できませんよね。この問題を解消するために、その音符が、どの音域の音なのかを特定するための、点字楽譜独自の記号を使うことになっています。
 これは、「音列記号」と呼ばれる点字で、基本的には、指し示す音符の前に書かれます。

 だからといって、全部の音符の前に音列記号を書くと、とってもわずらわしくて、同時に読みにくくもなってしまいますから、その音符の前にある音符との音の高さのへだたり(音楽用語で、旋律的音程という難しい名前がありますが、ここでは簡単に、「音の高さの離れ具合」とでも理解しておいてください)が、大きくない場合には、音列記号を省略してもよい決まりにしています。

 具体的に、どのような省略をするかについては、少々、ややこしいところがありますので、詳しくは、次の機会にご説明することで、ここのところは、「ちゃんと、よく考えられているんだな」程度にご理解ください。

 これまでの説明を、図に書くと、次のようになります。

音名の表わしかたの説明図

音名の表わしかたの説明図

3. 音符の種類の表わしかた

 次に、音符の種類についてご説明します。
 先にもご紹介しましたように、点字の6つの点のうち、下に並んでいる3と6の点、2つで表現します。
 「というと、4とおりしかないじゃないか。音符の種類は、もっと一杯あるのに、どうするんだ?」と気付かれたかたもあるでしょう。この問題は、以下のようにして解決されています。

 まず、基本の音符を「八分音符」とします。そして、八分音符の場合には、3の位置にも、6の位置にも、点がない状態で表わします。そして、
  ・四分音符は、6の点だけ
  ・二分音符は、3の点だけ
  ・全音符は、3と6の点の両方
で、表わすように取り決めています。

 では、十六分音符より短い音符は、どうしているかというと、もう一度、同じ4とおりの表示に割り当てています。つまり、
  ・百二十八分音符は、3も6も点がない状態で
  ・六十四分音符は、6の点だけ
  ・三十二分音符は、3の点だけ
  ・十六分音符は、3と6の点の両方
といった具合です。

 「同じ表示で2とおりの長さを表わすんじゃあ、どっちなのかが分からないのでは?」と疑問に思われることでしょう。しかし、よく考えてみてください。普通の音楽なら、そんなにたくさんの種類の音符が、同時に出てくることが少ないことから、このように取り決めていることは、結構、合理的なのです。

 詳しくは、後にご紹介するとして、楽譜である限り、点字楽譜にも、その曲が「何分の何拍子」であるかの表示は必要で、通常これは、楽譜の最初の部分に表示されます。
 また、点字楽譜では、小節を区切る意味での小節線(じゅう線とも言います)を、マスあけ(1から6の、どこにも点がない、カラのマスを置くことを言います)で表現していますので、どこからどこまでが、1つの小節になっているかは、非常に分かりやすくなっています。

 ですから、その楽譜の曲の拍子が示されていて、1つの小節の範囲が分かれば、その小節には、何拍の長さの音符があるハズかも同時に分かります。
 もしも、4分の4拍子の曲の1つの小節に、6の点だけがある音符が、4つ並んでいれば、これらが六十四分音符ではなく、四分音符であることが、簡単に判断できる仕掛けです。

 同様に、同じ曲で、3の点だけの音符が2つあれば二分音符、3と6の両方の点がある音符1つだけであれば全音符と、認識可能です。
 もちろん、2種類以上の音符が、同じ小節に含まれる例が多いのですが、この場合でも、同じ表示を使うのは、それぞれ16倍も長さの違う音符なのですから、余程のことがなければ、判断できるのです。

 「でも、その余程のことがあったら、どうするの?」とご心配のかたのために、ご紹介したような判別方法だけでは、判断のつかない場合には、その音符の前に、2とおりのどちらなのかを示す点字(「分別記号」と呼ばれる、3マスの点字で、これに続く音符が長いほうか短いほうかを表示します)を置くことで対応できるようになっているのでご安心を、とだけご案内しておきます。

 あと、付点の付く音符の場合は、1つの点字では表わしきれませんので、五線譜のオタマジャクシと同様に、その音符の後ろに、付点を表わす点字、3の点だけがあるもの、を続けて書くことで表現します。付点が2つ付く、いわゆる複付点の場合には、この3の点の点字を2つ続けて書くようにします。

 これまでの説明を、図に書くと、次のようになります。(音名がCである場合で説明しています)

音符の種類の表わしかたの説明図

音符の種類の表わしかたの説明図

4. 休符の表わしかた

 音符があれば、休符も必要ですよね。休符には、音の高さがありませんので、休みの長さだけで表現するようになっています。
 休符も、音符のときと同じように、8とおりの長さを4種類の点字で表現する、つまり、1種類の点字に、2とおりの休符が割り当てられています。

 具体的には、
  ・八分休符と百二十八分休符は、1、3、4、6の点
  ・四分休符と六十四分休符は、1、2、3、6の点
  ・二分休符と三十二分休符は、1、3、6の点
  ・全休符と十六分休符は、1、3、4の点
となっています。

 なお、付点の付く休符の場合、音符のときと同じ様に、1つの点字では表わしきれませんので、五線譜のオタマジャクシと同様、その休符の後ろに、付点を表わす点字、3の点だけがあるもの、を続けて書くことで表現します。
 付点が2つ付く、いわゆる複付点の場合、この3の点の点字を2つ続けて書くようにししているのも、音符のときと同じ扱いです。

 これを図に書くと、次のようになります。

休符の種類の表わしかたの説明図

休符の種類の表わしかたの説明図

 

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 ・このページにご紹介した内容は、日本文化財団発行の「世界点字楽譜解説」に基づいてご紹介しています。

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