SIGHT OF HEART
更新日:2000/02/02

● 突然ですが、「点字の楽譜」があることを、ご存知でしたか?

 最近は、缶ビールにも、点字の表示がつくようになっています。
 目の不自由なかたには、印刷された文字(点字と対応させるときには、墨字(すみじ)と呼ばれます)が読めないことで、それがジュースなのかお酒なのかの区別がつきません。
 点字で「おさけ」や「ビール」と書いてあれば、ジュースと間違えなくてすむわけです。

 他にも、点字で発行されている新聞など、墨字が読めないかたが、文章を読もうとするときに、点字が大活躍しています。

 点字は、その1マス(縦3かける横2の6点の有無で表される1文字)が、「あいうえお」の五十音に対応している、いわゆる「表音文字」ですから、カナ文字で書ける文章であれば、基本的に、墨字と同様に、書き表すことができます。

 でも、良く考えると、世の中には、カナ文字では書き表せない表現が、たくさんあります。
 例えば、数学に出てくる「計算式」、化学で使う「分子記号」や「反応式」、などなど、結構たくさんあります。
 同様に、「文字」と呼ぶ人はいないかも知れませんが、楽譜だって、カナ文字では書けないですよね。

 しかし、世の中には、「点字で書く楽譜」を考案し、それを完成させてきた偉い人たちが、たくさん居たのです!

 「音楽は盲人にとって最も古い職業」、「国境をこえた言葉として、音楽をすべての民族に与えるためには世界共通の楽譜が必要」、「盲人にもその楽譜が必要なことは、当然なこと」と、世界盲人福祉協議会の会長は、おっしゃっています。

 また、「わが国でも古来から、盲人の楽人(音楽を奏でる人)が特に(良い)待遇を受けて、高位(高いくらい)を与えられ、貴人(高貴な人)と交わりを結んだという多くの例を聞きます。ところが、近代になってわが国に洋楽(西洋の音楽)が入ってきて、それが楽界(音楽の世界)の主流になるにつれて、ややともすると盲人は非常な才能があるにもかかわらず、主流から疎外されるようになったといわれていることは、まことに遺憾に思います」とは、日本文化財団の名誉会長の職にあった頃の松下幸之助氏の言葉です。

 点字は、1829年、フランスの盲人 ルイ・ブライユによって、盲人が蝕読(触わって読む)することができる文字、いまや世界中の視覚障害をお持ちの人たちが絶大なる受けている、いわゆる「6点式点字」として発明されたことは、よく紹介されています。
 しかしながら、発明者ブライユが、もともと教会のオルガン奏者で、しかもパリ訓盲院の音楽科の教師でもあったことから、なんとか盲人に楽譜を与えたいとの切なる願いをもって、点字の考案に成功したとの話は、あまり知られていない事実でしょう。
 彼は、6つの点の有り無しで表現される63とおりの組み合わせに基づいて、巧妙な組織と構成による点字楽譜の表記方法の基礎を、1834年に完成させたと伝えられています。

 「点字は、もともと楽譜を表記するために考案、発明された」とも言えるこのエピソードは、晴眼者のかたはもちろん、視覚障害をお持ちのかたがたにも、ちょっとした驚きをもって受け止めていただけるのではないでしょうか。

 日本では、1887年(明治20年)に、イギリスから点字が輸入され、その5年ほど後に、点字楽譜の研究が始められたそうですが、それまでの数十年間、欧米諸国において、点字楽譜の改善と世界的な統一と普及のための、多くの会議が開かれていました。
 現在、世界で使用されている点字楽譜は、1954年にパリで開催された「世界点字楽譜統一会議」の結論として、まとめられた、「改定国際点字楽譜の手引き(1956年)」によるものだそうです。
 これには、ポピュラーからオーケストラのスコアにいたるまでの、あらゆる楽譜を点字で書き表す方法が網羅されていて、ブライユの発明から約120年の時を経て、点字楽譜が完成したのです。

 いまから45年も前から、世界の人たちが力を合わせてきたことで、共通に読み書きできる点字楽譜が出来上がっていたにもかかわらず、これほど「普及していない」、いやもっと言えば、「その存在さえ知られていない」のは、少々、悲しいことだと思います。

 最近でも、盲目のピアニストが、世界的なコンクールで受賞したとのニュースに添えられて、「課題曲の楽譜の点訳に、一番苦労した」との談話が報じられたり、世界的にも認められた盲人のバイオリン奏者が、国内での入手が難しいために、点字楽譜を海外から購入していると聞いたりします。
 海外が進んでいるのでしょうか。それとも、日本が遅れているのでしょうか。

 弊社では、現在、「点字楽譜作成システム」の開発に取り組んでいます。
 このシステムでは、パソコンを活用して、MIDIファイルやMIDI楽器の演奏情報を取り込んだり、ステップ入力で楽譜情報を作成したりしたものを、その表示形式やレイアウトなどを編集し、点字プリンタを使って点字楽譜として出力することができます。
 皆様へのご提供が可能となりました際には、このホームページ等にてご紹介させていただきますので、ご期待ください。

 ●現在、「高齢者・障害者支援型情報システム開発事業 成果発表会」の告知ホームページにおいて、
  「点字楽譜作成システム」の概要が紹介されています。
  興味をお持ちのかたは、以下のURLを、クリック!
         → http://www.udit-jp.com/jeida-event/pro_01.html

 このページを、お読みいただいた貴方が、

 ・点字の楽譜というものがあるんだ
 ・どうも、それはまだ、みんなには、その存在さえ、あまり知られていないらしい
 ・必要という人が、たくさん居るわけではないにせよ、その人にとって入手さえ難しい状態だ

ということに気付いて、何かの機会にでも、求めている人たちの役に立つようなことをしてもいいな、と思っていただければ、とてもうれしいと思っています。


 ・このページにご紹介した内容は、日本文化財団発行の「世界点字楽譜解説」より引用させていただきました。

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