モニター環境って、どんなもの?

 まず、大きく2種類に分けて考えてみましょう。

 ● 「ヘッドフォン」を使う
 ● 「スピーカー」を使う

 モニターしようとする(確認したい)内容によって、この2種類を使い分けることになります。

 
 ● ヘッドフォンを使うケース
 

 「夜中に聴くときとか、大きな音が出せないときに、使うんじゃないの?」

 う〜ん、まったくそのとおりなのですが、
スピーカーで鳴らす場合に比べると、耳の近くで音が鳴ってくれることから、
 ● アンサンブルの中に、比較的小さな音量で鳴らしている音を確認したいとき
 ● 紛れ込んでいるノイズ(雑音)を発見したいとき
に、また、再生できる周波数帯域が広い(非常に低い音から、高い音まで再生できる)ことから、
 ● スピーカー使用では聞き取りにくい(音にならない?)音域の音を確認したいとき
などに、たいへん有効なモニター方法になります。

 もちろん、加えて、
 ● 周囲の雑音を排除して、音を確認したいとき
  → プロが使うスタジオとは違って、日常生活の中には、エアコンや冷蔵庫など、雑音が結構あります。
 ● 作品が、ヘッドフォンを使って聴かれる際の「鳴りかた」を確認したいとき
  → 最近では、スピーカーで聞かれるよりも多いかもしれません。
    「頭の中で鳴る」感じは、前方に置かれたスピーカーから聴くのと違って、独特なものがあります。
のようなケースは、スピーカーでのモニターでは実現できないものです。

 以下、モニターに使用するヘッドフォンを選択する場合に、確認しておきたい、または気を付けておきたい「チェック・ポイント」を、いくつか、ご紹介しておきます。

【形状・形式】
 耳をぐるりと取り巻くような「ドーナツ型」のイヤ・パッドを持った、密閉式の(かけた状態で、外部の音が遮断される)ものを選択してください。
 外見からは密閉型に見えても、外部とつながっている「オープン・エア式」になっているものもあるようですので、カタログなどで確認するのがよいでしょう。

【コード】
 まれに、左右のユニットから、それぞれケーブルが出ているタイプを見かけますが、通常は、片方のユニットから1本だけ出ているもの(片出し)が、使い勝手が良いと思われます。
 コードの形状としては、まっすぐな「ストレート」のものと、受話器のコードのように巻かれた「カールコード」があります。「好み」の問題が大きいかもしれませんが、ブース内を、所狭しと動きながら使うときに、コードがじゃまにならないことを考えてか、「DJ用」をうたったものにカールコードが採用されている以外は、ストレートなものが多いようです。
 長さは、最低でも2メートル以上あるものを選びましょう。

【プラグ】
 大きな形状の「標準プラグ」と、小さいタイプの「ミニ・プラグ」があります。
 プロの世界では、信頼性や耐久性に優れると評価されているのか、ほとんどが、文字どおり「標準」の大きいほうを採用しています。
 ですから、小型化した音源モジュールやオーディオ・ミキサーなどに装備されている「ミニ」サイズのヘッドフォン・ジャックには、直接、差し込むことができないので、注意が必要です。
 この問題は、オーディオ用アクセサリとして販売されている「変換アダプタ」を間に使用することで、機能的には解消できますが、標準ジャックとミニ・プラグが一体になった「アダプタ」と呼ばれるものでは、大きくて重い「標準プラグ」の重さや、コードにかかる力の全てが、そのままミニのプラグ・ジャック部分にかかることになるため、最悪の場合、音源などのジャックを破損させる心配があります。できれば、標準ジャックとミニ・プラグの間にも、短いコードが使われている「変換コード」タイプを使われることをお勧めします。

【インピーダンス】
 「交流的に見た抵抗値」の意味で、どんなアンプ(通常は、ヘッドフォンのジャックの中に用意されています)で駆動するかに関係する数値です。これが、あまり高いと、充分な音量が得られないことがあり、逆に低すぎると、アンプに負荷がかかるために、音が歪んでしまうことがあります。
 8から100オームぐらいまでのものであれば、まず問題ありません。

【最大入力】
 「どれだけの入力に耐えられるか」を意味します。
 これの大きいものは、「壊れにくい」ことはもちろんですが、「音楽の中に突然出てくるピーク音」に対しても、歪みのない再生を実現してくれます。
 1000ミリ・ワット=1ワット程度あれば安心でしょう。

【再生周波数帯域】
 どれぐらい低い音から、高い音までを再生できるかを示します。
 低いほうで10ヘルツ以下、高いほうが25キロ・ヘルツ以上、というあたりが目安でしょうか。

 
 ● スピーカーを使うケース
 

 「それなら今だって、スピーカーを使ってるよ」

 ・・・というかたが、ほとんどでしょう。
 では、「なぜ、スピーカーを使ってモニターするのか」「モニター用スピーカーに必要な機能」などについて、考えてみたことは、おありでしょうか。
 先にご紹介した「ヘッドフォン」の場合と比較して、考えてみると良いかもしれません。

 まず、スピーカーでモニターする場合の利点として、
 ● (当たり前のことですが)前に置いた2台のスピーカーからステレオで再生することで、
   自然な音場空間で音(の広がりまで)を確認できる
 ● 同様に、各楽器音の定位(左右の、どの位置で鳴っているように聞こえるか)を確認できる
といったところが、あげられます。

 独断かも知れませんが、ヘッドフォンで、各楽器ごとの「鳴りかた」や歪み、ノイズの有無を確認しておいて、スピーカーでは、音楽全体の響きかた(「サウンド」という言葉になるのでしょうか)をチェックする、と使い分けるというのが、大まかな「セオリー」といえるのではないでしょうか。

 では、モニターに使用するスピーカーは、どのようなことに注意して使用、選択すべきかについて、確認しておきたい、または気を付けておくべき「チェック・ポイント」を、いくつか、ご紹介しておきましょう。

【置き場所】
 最初から、とんでもないお話をしますが、置く部屋が、どんな大きさで、壁や床、天井が、どれぐらい音を反射するかは、とても大切で、「自然な音場づくり」のためには、ある意味で、スピーカーの機種選び以上に、留意しておくべき問題です。
 とは言っても、日本の住宅事情では、どうしようもない部分が多いお話ですので、ここでは、
 ・ ガラス窓のカーテンを閉じておく
 ・ フローリングなどの板床には、カーペットを敷いておく
ぐらいをお勧めするまでに留めておきます。

【置く位置】
 スピーカーを置く位置は、
 ・ 左右のスピーカーを、両耳から、同じ距離(通常は、1メートル以上)になるように離して置く
 ・ 2台のスピーカー間の距離(離れ具合)が、耳とスピーカーとの距離より大きくならないように置く
 ・ 耳の位置と同じ高さか、それよりも少し上の位置に置く
ようにしましょう。
 ほとんどのかたは、パソコンなどを操作するためにも、イスに腰を掛けてモニターされることでしょう。
 ですから、ディスプレイのすぐ横に置いたスピーカーでは、耳との距離が近すぎて、壁などに反射して耳に届く音を含む音場が、ほとんど聴けていないことになります。
 できることなら、パソコンをのせた机の更に後ろに、ラックか何かを置いて、これにスピーカーをのせるようにするのが良いと考えられますが、まず、住宅事情が許してくれないことと思います。
 そこで、「次善の策」として、パソコンの横や後ろの、適当な距離が取れる位置に、スピーカーを配置して、モニターするときには、スピーカーの方向に顔が向くように、イスを回して聴くようにされては、いかがでしょうか。

【形式】
 リスニング(音楽鑑賞)用のものには、再生させる音域を分けて、大きさの異なる複数のスピーカーをマウントした、「2ウエイ」や「3ウエイ」のタイプが高級品とされているようですが、モニター用のものは、1つで全部の音域を再生させるようにしたスピーカー・ユニット(「フル・レンジ」と呼ばれます)を採用したものが、結構、使われていて、多くても2ウエイまでのものが選ばれているようです。
 比較的、離れた位置で聴くことを想定したリスニング用とは違って、割と近い位置で聴くことが多いモニター用では、音像の定位が安定することが必要だから、と聞いたことがありますが、本当なのでしょう。
 そう言えば、2ウエイのものも、2つのユニットが横位置(左右方向)になるように意図してか、「寝かせて」置いてあるのを、よく見かけます。

【インピーダンス】
 ヘッドフォンのところでの紹介をご参照ください。
 スピーカーでは、ほとんどのものが、4から8オーム程度ですので、よほど大出力で使用するのでなければ、これが問題になることはないでしょう。

【最大入力】
 これも、ヘッドフォンと同じことが言えるのですが、できれば、余裕のあるもの(通常入力で30から50ワット、最大なら100ワット程度)を選びたいところです。
 もちろん、どんなに「野中の一軒家」だったとしても、そんな大音量で鳴らすことは、まずありえません。
 でも、この「余裕」が大切なのです。自動車の運転をされるかたなら、排気量の大きな、充分な高出力のエンジンを積んだクルマだからこそ、50キロ制限の町中でも、余裕のある運転ができる…、と例えれば、ご理解いただけるでしょうか。

【周波数帯域】
 低い音域を再生するためには、物理的に大きな、口径が何10センチもあるようなユニットや、大型のボックスが必要になります。ですから、低い音のほうは、60ヘルツ程度が出せるものが、一般的なものと考えられます。
 逆に、高い音域は、カタログ・スペックでも、20キロ・ヘルツは欲しいと考えておきましょう。
 ちなみに、パソコンに付属してくるような小型のスピーカーでは、低い音域が再生できないのはもちろん、高い音域も鳴っていないもの(つまり、ラジオの音質)が、ほとんどです。

【入力端子】
 意外に見逃しがちなのが、アンプからのケーブルを接続するための入力端子です。
 スピーカーをドライブするために、アンプから送り込まれる電気信号は、代りにつないだ電球を発光させるぐらいに「パワフル」なものです。ですから、当然に、その信号をロスしないような、十分な太さのしっかりとしたケーブルを使うことが必要になり、安価なミニ・コンポに付属してくるような細いコードにしか対応できない端子では、ケーブルを接続できないことになります。
 「大型のネジ式ターミナル」などの、太いケーブルにも対応した端子を装備したものを選んでください。

 ● アンプのお話

 スピーカーを駆動するためには、いわゆる「パワー・アンプ」が必要です。
 最近の機種であれば、よほどの安物でない限り、リスニング用を含めて、十分な性能・特性を装備したものがほとんどですので、あまりウルサイことを言う必要はないと思います。

 あえて、注意点をあげるとすれば、以下のようになるでしょう。

【定格出力】
 何度も言っていますが、「余裕のあるもの」を、ご用意ください。
 ただしこれが、スピーカーの許容入力を大きく上回っていると、誤って大きな音量で鳴らしてしまったときに、スピーカーを破損させることになりますので、スピーカーの最大入力とのバランスを考慮されることをお勧めします。

【入出力端子】
 スピーカー・ケーブルを接続する出力端子は、先にもご説明したように、十分な太さのケーブルが、しっかりと接続できる型のものが装備されていることを確認しておいてください。
 もう一方の入力端子については、これに接続する機器(オーディオ・ミキサーなど)との接続が可能な端子形状(ピン・ジャックか、フォーン・ジャック)であれば、あまり問題になることはないでしょう。

 ● 最近の流行? アンプ内蔵のモニター・スピーカー

 パソコンの世界では、当たり前のようになっている「パワー・アンプを内蔵したスピーカー」ですが、最近は、プロの音楽制作現場にも、採用されることが多くなっているそうです。その「手軽さ」が、評価されているのかも知れません。

 おかげでと言うべきか、「アンプ内蔵スピーカー=お手軽だが性能が高くない」との構図がくずれて、モニター用としての用途にも耐えられるぐらいの機種が登場するようになりました。アマチュアにとっても、選択肢が広がったと考えられて、歓迎すべき現象でしょう。

【注意ポイント】
 ただし、気を付けなければいけないことに、「元々パソコン用にと設計されたものを、高級化したことで価格が高くなったタイプ」と「元来が音楽モニター用に作られたスピーカーに、アンプを内蔵するようにしたタイプ」とが、同じような「お手頃価格帯」に混在してしまっている点があります。

 しかし、基本を知った上で判断するなら、「スピーカーの箱の中に、パワー・アンプを収めることで、スピーカー・ケーブルの接続が省略できるようになっているだけ」と考えればよいのです。
 音楽モニター用を意識して用意されているモデルでは、カタログを見ても、スピーカー部分のスペックは○○、アンプ部分の仕様は、△△と、それぞれを、単体でも評価できるような表示がなされていますので、その製品の位置づけを、区別できると思われます。
 ですから逆に、周波数帯域などの基本仕様も書かれていないような機種は、「要注意」と考えられます。

 だいだい分かってきたぞ!
 でも、具体的には、どんな製品があるんだろう?

 

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