● 今の「演奏環境」で、大丈夫?
今、あなたのパソコンとMIDI音源は、どんな風に接続されていますか?
「どんな風にって、ケーブルで接続されているけど?」
そのケーブルが、「何用のケーブル」で、ケーブルの中に、どんな種類の信号が流れているかによって、演奏の安定性や再現性が、大きく変わってしまう可能性があることを、ご存知だったでしょうか?
これには、「ケーブルの中を流れている信号のスピードの違い」が、影響しています。
今から十数年前、MIDI規格ができたときに、MIDIケーブルの中に流れる信号は、「31.25Kbps(1秒間に、31,250ビットが伝わるスピード)」と定められました。これば、当時としては、「非常に高速な」伝送速度だったのですが、現在では、かなり「事情が変わってきて」います。
MIDI規格では、「ある1つの音が、ある強さで鳴り始めたよ」との情報を送るためには、30ビットを使うことになっています。では、この30ビットが、MIDIケーブルの中を伝わるためには、どれだけの時間が必要になるかを、計算してみましょう。
1 ÷ 31250 × 30 = 0.00096秒 = 0.96ミリ秒
つまり、一番早くて、約千分の1秒、かかることになります。最近の音源は、16パートを同時に鳴らせられるようなものが普通にありますので、全パートが、たった1音ずつ、同じタイミングで鳴り始める、との信号を送ろうとすると、
0.00096秒 × 16 = 0.01536秒 =15.36ミリ秒
が過ぎたあとでないと、16番目のパートの情報までが伝わりません。
これが、いわゆる「MIDI同時発音の限界」になります
さらに今は、各パートに、1音ずつの場合を考えましたが、中には、和音になっているパートがあるかもしれません。もっと言うと、最近の音源モジュールでは、少なくて、32パート、多いものなら、64パートも、同時に発音できるものがあります。もしも、これらのパート全部が、「一緒に鳴り始める」との情報を送ろうとしたら…、いったい、どれだけの時間がかかる=発音が遅れることになるのでしょう!
● 色々ある「MIDIのつなぎかた」
現在、実用化されている、MIDI音源の接続方法には、主に、以下のようなものがあります。
1.MIDIインターフェイス・ボードを、拡張スロットに装着して、MIDIケーブルで接続する方法
2.MIDIインターフェイス・ユニットを、プリンタ・ポートに接続して、MIDIケーブルで接続する方法
3.MIDIインターフェイス・ユニットを、モデム・ポートに接続して、MIDIケーブルで接続する方法
4.モデム・ポートとMIDI音源とを、専用シリアル・ケーブルで接続する方法
5.サウンド・ボードのジョイステック・ポートとMIDI音源とを、専用MIDIケーブルで接続する方法
6.USBポートに、MIDIインターフェイス・ユニットを接続して、MIDIケーブルで接続する方法
7.USBポートとMIDI音源とを、USBケーブルで接続する方法
あと、広い意味での「MIDI音源の鳴らしかた」として、
8.ソフトウエア・シンセサイザを使って、演奏させる方法
も、数に入れておきましょう。
● あなたにピッタリの「MIDI接続方式」は?
では、それぞれの接続方法には、どんな特長があるのか、以下、簡単にご紹介しましょう。
上記の1.から3.の、パソコンに、MIDIインターフェイス(ボードやユニット)を接続して、MIDI端子を取り出す方式は、OSとして、Windowsが登場する以前から使われていたものです。製品によっては、複数の独立したMIDI端子が装備されていますが、パソコンとMIDIインターフェイスの間は、MIDI信号よりも、遥かに高速なデータの受け渡しがされますので、発音の遅れは、MIDIケーブル1本ずつの「信号スピードの限界」までにおさまります。
ただし、MIDIインターフェイスを用意するために、1万数千円から数万円の出費が必要になります。
4.の、モデム・ポートとMIDI音源とを、専用シリアル・ケーブルで接続する方式は、比較的、最近に登場したものです。ですから、少し以前の音源では、この接続用の端子が装備されていないため、この方式が使えないのが残念です。
通常は、MIDI音源に付属している、または数千円で別売されている専用ケーブルで接続するだけですので、簡単、お手軽に接続作業を完了することができます。
5.の、ジョイステック・ポートとMIDI音源とを、専用MIDIケーブルで接続する方式も、かなり以前から、よく使われていたものです。昔は、このポートを使うために、サウンドボード自体を、オプションで購入しなければならなかったものが、最近のマシンでは、10万円前後の入門用パソコンでも、購入時からポートが標準装備されるようになっていますので、「古くて新しい方式」とも言えるでしょう。
この方式用のケーブルだけなら、数千円で販売されています。
6.の、USBポートに、MIDIインターフェイス・ユニットを接続して、MIDIケーブルで接続する方式は、上記の1.から3.の方式の、パソコンとMIDIインターフェイス・ユニットとの間の接続に、Windows98から正式サポートされた「USB接続」を採用したものと言えます。MIDIインターフェイスを用意するために、1万数千円から数万円の出費が必要になる点も同じと考えてください。
USBでは、1.5Mbps(=1,500キロビット/秒)という、超高速な伝送スピードが実現されていますので、複数(2から6個)用意されたMIDI端子にも、余裕を持って対応しています。
また、最近流行の「スロット、プリンタ・ポート、モデム・ポートが装備されていないパソコン」や「ノート型パソコン」にも、ピッタリです。
7.の、USBポートとMIDI音源とを、USBケーブルで直接接続する方式は、もっとも最近に登場したもので、前述6.の方式の、MIDIインターフェイス・ユニットが、音源に取り込まれたようなものと、お考えください。
USBケーブル経由で、MIDI音源を演奏させるだけでなく、そのMIDI音源に、MIDIケーブルで接続された、別のMIDI音源にも演奏データを送り出せる機能まで装備した機種が発売されています。
8.の、ソフトウエア・シンセサイザを使って演奏させる方式は、何といっても、「ケーブルやユニットの接続が不要」なのが特長の、「究極のお手軽方式」です。さらに概して、音源モジュール(ハードウエア)よりも、安価に提供されているのが嬉しい限りです。
ただし、パソコン自体の能力を使って音を鳴らすようにしているために、良い音で、同時に沢山の発音をさせようとするには、高速・高性能なCPUが搭載されているマシンを使うことが条件になります。
とは言っても、最近の急激なコンピュータの低価格化のおかげで、今なら、十万円前後で売られているモデルでも、充分な機能を発揮できるようになってきていることからも、注目しておくべき方式でしょう。
● 「MIDIインターフェイスの増強」を、ご提案
今のあなたがご利用になられているシステムが、どの方式なのかが、見つかりましたでしょうか。
ご自分の音楽活動に、より広く、コンピュータを活用されるのであれば、その目的や用途、いわゆるTPOに合わせた最適な「MIDI接続環境」を、ご用意になられることをお勧めします。
では、具体的なケースを例にして、もう一歩、踏み込んだご紹介をすることにしましょう。
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